渡邊穣のブログ

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ヴァイオリン 音階を学ぶ (6)

音叉に合わせる

ヴァイオリンを習い始めた時は、自分で調弦ができないので、誰かが調弦をしてあげているはずです。
その後、自分で調弦をすることになりますが、その時点で音程測定機を使わないようにするべきでしょう。
もし、音感がまだ身についていない子が音程測定機を使って調弦をすると聴覚ではなく、視覚を優先して合わせてしまうからです。

音叉で合わせるのが一番良いです。子供に音叉を与えると色々なものに当てて遊びます、それがAの音程を覚えるのに役に立ちます。
楽器の本体には当てないようにしてください。当てるなら顎当てがよいです。
最初は音叉を叩いて耳などに当てるか、響くものに当ててA音を発生させるのを手伝ってあげましょう。
この時にうなり音を聞くということを教えます。音叉と弦の音程がきちんと合うと、うなりは発生しません。
何ヘルツからのうなりが聞こえるのか、という問題がありますが、ここでは触れません。耳を頼りにしてください。
調弦ができるようになってきたら、音叉を自分で鳴らして聴いて、記憶した音程に合わせるようにします。 完全五度の調弦も以前に書いたように、うなりの音程を聴くようにしてください。

何ヘルツの音叉を使うべきか、について私は答えられません。私がドイツにいた時は443Hzでした。
私の先生はアメリカで演奏するときに困るから、という理由で440Hzを使っていました。より低い音程で演奏するのは、その逆よりはるかに難しいからです。
日本では442Hzが一般化しています。
子供の場合は基準音程は一つに統一しておくべきです。家にあるピアノも同じ音程に調律してください。440Hz、441Hz、442Hzのどれかを選択することになります。

ちなみに、絶対音感を持つのが良いとは一概に言えません。私は440Hzの絶対音感を持っていましたが、初めてオーケストラで演奏をすることになった時に、高いAに合わせるのが違和感を感じ、困難でした。また、転調をした時にどうしても固定された絶対音感の虜になってしまうのです。
私の同級生で素晴らしい相対音感を持った人がいました。その人が歌う音階は、どの調性も驚くほど素晴らしい旋律的音程でした。(声で微妙な音程の違いを表現すること自体、簡単にできることではありません。) もちろん、その人がヴァイオリンで弾く音階も美しく、未だにそれ以上の美しい旋律的音程の音階をを聴いたことがありません。