渡邊穣のブログ

おもにヴァイオリンに関する事, 時々その他

ヴァイオリン 音程を学ぶ (7)

音程測定機は使い方が肝心

音程測定機は色々と発売されていますが、使い方を間違えないようにしなければいけません。
ほとんどの音程測定機は平均律で設定されていると思うのですが、その説明がないものがほとんどです。
一部の音程測定機に種々の音律と基音の設定ができるものがありますが、そのほとんどはピアノの調律のためのものです。最近はアプリでも十分に間に合うのでスマートフォンを音程測定機の代用している方も多いのではないでしょうか。私はClearTuneとTunable (iPhone iPad)を使っています。

ClearTuneは調律士が使う音程測定機の代用にできるほど良い、と書いてあるのを読んだことがあります。様々な音律が設定できるようになっています。その周波数の表は
http://7tv7dorama.blog.fc2.com/blog-entry-6987.html で見ることができます。各音律の周波数のちがいがわかります。 このアプリにはヴァイオリン用の設定があり、それはピタゴラス音律を使っているようですが、Gが低くなるので、平均律の設定の方がよいでしょう。
(Bachのソロソナタ&パルティータを弾く場合はピタゴラス音律の設定の方が座りが良いです。)

音律の中で参考になるものは、平均律純正律ピタゴラス律、中全律(ミーントーン)です。あえて言うなら、慣れ親しんでいる平均律が使ます。 これらを音律を音階で鳴らしてみると、そのいずれもがヴァイオリンの旋律的な音階としては、どこかに違和感を感じるはずです。

平均律に関して、ウィキペディアの記事ですが、面白いと思ったので載せておきます。 以下のような批判がある。
ジャン=ジャック・ルソーはその著作『近代音楽論究[8]』で十二平均律を批判している。
グスタフ・マーラーは、ミーントーンの調律がされなくなったことは西洋音楽にとって大きな損失だと嘆いた。
フランツ・ヴュルナーは、1875年に発表した『コールユーブンゲン』の序文において、本作の練習の際には初めは楽器を用いずに行い、最後に伴奏を付けるべきであるがその際には平均律によるピアノを用いてはならないと戒め、「平均律によるピアノを頼りにしては、正しい音程は望めない」と批判している。
マックス・ヴェーバーは『音楽社会学[9][10][11]』(1910年頃)で、ピアノで音感訓練を行なうようになった事で精微な聴覚が得られないことは明らかだと記述した。
ハリー・パーチ、ルー・ハリソン、ラ・モンテ・ヤングなど、現代音楽で十二平均律を使用しない試みがなされている。
批判に対する反論
平均律による音響が美しくないという批判に対しては反論もある。まず、和音の各音の周波数比が単純ならば和音が美しいということに根拠はない。4:5:6や10:12:15の周波数比から、平均律程度にずれたことによって、それを美しくないと感じるかどうかを断定はできない。また、もしずれることが美しくないならば、ヴィブラートが用いられることを説明できない。 さらには、たとえばピアノの場合、平均律に調律することによって、単純な周波数比からいくらかずれ、それによってうなりが生じる。それが程良いヴィブラートに感ずるとする論もある。

音程測定機についてもう一点あげておきましょう。
今は販売されていませんが、私はKORGの「マスターチューナー」という音程測定機を持っています。この音程測定機には各音律に加えて、高音域になる程低めに聞こえるという人間の聴覚の生理的特性を加味して表示する設定ができます。
3種類のカーブの強弱の設定ができるのですが、その何れも五線の上のAあたりから上昇し始めています。現実に即した設定だと思います。
コンサートグランドの調律は高音と低音の両端に向かって音程を幾分高く設定するそうです。弦が切れやすくなるのであまり高くはできないのですが、それによって鮮やかに聞こえるようにするそうです。

稀にあることですが、高音の音程を低いのではないかと指摘すると、音程測定機に合っているから正しいと答える人がいますが、使い方を間違えています。

結論です。
音程測定機はAの確認、広すぎる五度にならないよう是正する、良いバランスだと思う音程は平均律から何セントずれているかを確認する。この三つの目的で使うべきです。
ヴァイオリンの調弦は一般的な音程測定機に合った音程で正しいと言えます。