渡邊穣のブログ

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ヴァイオリン 音程を学ぶ (13)

半音の幅の違い

「音程を学ぶ」という題で書き進めてきましたが、これらは私がレッスンで話している中から、音程に関することで、文章にしても誤解のないことをまとめてみました。
これによってレッスン中の雑談の時間を減らす、という自戒の意味もあります。
一応、音程の項目は今回が最後です。

私がレッスンを受けた時の話です。
「昔々、全音の間に鍵盤が二つあった時代がある・・・。だから、EsはDisより高いんだ。」
という指摘を受けたことがありました。
導音と主音の短二度の幅に代表されるように、選択の余地がある音程があります。
この時は、和声外音の半音を狭く取る、という指示だったのだと思います。
倚音、経過音、刺繍音などの場合です。
該当するような箇所を見つけたら、この話を思い出して試してみてください。

Bachの音程

Bachの曲においては、長調短調の感覚が希薄になる部分が多々あります。
旋法や対位法が曲の主要な要素になるのです。
導音を高めに取る、などのことは調性感が増したり、終止感が増したりする効果があります。
長調短調の感覚でBACHの曲を解釈をすると間違いが生じ、フレージングにも影響をあたえる場合があります。

二度和音

近現代の曲には、長二度、短二度の和音がしばしば現れますが、この二度音程の和音は、ヴァイオリンの真骨頂とも言うべき音程です。
これまで、倍音(うなり音)のことを何度か取り上げましたが、三度音程の幅を僅かにズラすより、二度音程の幅を変化させた時の方が、倍音の音程が劇的に変化するのです。

二度和音は三度の和声的音程のように確定した音程がありません。
二度の多様な音程の幅は多様な音色の変化となります、その音程の選択は奏者のセンスに依存するのです。
長二度、短二度の和音の幅を色々と変えて試してみることは、古典の曲の音程に関しても資するところ大です。
(中にはシェーンベルクのように平均律で弾いた方がよい曲もあります。)
実際の演奏で二度和音を思ったように弾くのは難儀なことです。
できたとしても演奏会場の中でどれほどの効果があるのかは疑問です。
しかし、練習は格段に面白くなります。

半音階の練習

半音階は結構なおざりの音程ですましてしまうのですが、平均律で練習することを勧めます。
半音の幅を均等に揃えるのは難しいです。
練習方法は 例えば、
DーEと弾いて、その真ん中と思えるところでDisを置く。
この順番を様々な音と音域でやってみてください。
左手の技術というより、耳の整理と記憶が大事です。