ヴァイオリン 音程を学ぶ (10)
音階のモヤ靄を晴らす -3-
アルペジオの音程は基本的に三度の積み重ねです。
ストレートな音階では旋律的音程を練習しますが、アルペジオは和声的音程の練習に使うべきです。
我々ヴァイオリン奏者は、単音で和声的音程を取ることになれていません。
昔を思い出してみてください、初めてフレッシュの音階教本を弾いた頃にアルペジオの音程に苦労しませんでしたか?
原因は、それまでに身につけてきた旋律的音程と、三度の積み重ねのアルペジオが自然な響きとして要求している和声的音程との間の誤差です。
奏者がその違いに気付かずに混乱させられているのです。
音程の差に気付きにくい理由の一つには、フレッシュの音階教本でもそうなのですが、同一調性の中でドミナントのアルペジオが出てこないことが挙げられると思います。
ヴァイオリン奏者は練習の末に、妥協的な旋律的音程を身ににつけて、この音程の問題を解決しています。
それはそれで大いに意味のあることなのですが、ここでもう一度、和声的音程でアルペジオを弾くと、どうなるかを確かめてみましょう。
ここまで読んでくださった方は、倍音の使い方を分かっていると思いますので、例をあげるだけにして簡単に書きます。先ずは1stポジションで弾いてください。
D–durです。G線第4指でDを取ってください。
D F A, DとFで倍音のBがなります。Fと開放弦Aで倍音のFが鳴ります。
D Fis A, D+Fis=D, Fis+A=D
D Fis H, Fis+H=H
D G H, D+G=G, G+H=G
D G B, G+B=Es
この方法で音程を覚えて、アルペジオを和声的音程で弾くことになれてください。
楽曲の中でも和声的音程で取った方が良い場合がかなりあります。