渡邊穣のブログ

おもにヴァイオリンに関する事, 時々その他

音程のとり方:開放弦から逆算する

Paganini Caprice No,8 から第50小節を見てください。 最初の音にDの解放弦があります。前から弾いてくるとこの箇所で開放弦と音程が合わないという経験をしたことがあるはずです。 それはその箇所以前の音程が悪かったというわけではなく、綺麗な音程で弾い…

音程の取り方 : 開放弦の影響

このブログでは当初から音程の取り方についてをメインにして、和声的音程と旋律的音程の違いと考え方を説明してきました。ちょっと復習してみましょう。 E線(開放のE音)とA線上のgisを重音で弾いてみます。そうすると倍音の低いE音が聞こえます。(倍音につ…

指の練習 「もうーつの方法」

セブシックの op. 1- 1 No. 1 を見ると押さえた指を離さずに残して押さえておくように指示されています。これは基本ですね。 私の訓練のパターンも、先ずは指を残すようになっており、第1指を軸として捉えるようなっています。 難しい曲に取り組むようになる…

留学先でのアドバイス

留学にあたってのアドバイスを求められました。 音楽とは関係がないことなのですが、ガイドブックには書いてない生活の上で大事な事を挙げておきます。 ドイツ語圏以外でどうなのかはわかりませんが、おそらく同じであろうと思います。 長期滞在の場合、一般…

初期教育に起因する問題点 (5)

####弓の持ち方 -2-手の形は顔のように各人が同じ形をしていません。お弟子さん達を見てきて、それぞれの手の形の違いというのは大きいと感じています。 中にはヴァイオリンを弾くには不利ではないかと思われる人もいますが、その人に合った合理的な使い方に…

初期教育に起因する問題点 (4)

弓の持ち方 -1- なぜ左手で弦を押さえ、右手に弓を持つようになったのでしょうね。疑問に思ったことはありませんか。 人間はいつの時代から右利きが多かったのかわかりませんが、たぶん、弦楽器発祥の段階では弦を押さえる動きは緩慢だったので、動きが大き…

初期教育に起因する問題点 (3)

楽器のサイズは外人用 今回のお話は、自虐的なイントロとなっていますがお許しください。 私は日本にいた若い頃から胴長短足だとはいわれてましたが、気にはしていませんでした。 それがドイツで生活して、いかに自分の手足が短いかを知ることとなったのです…

初期教育に起因する問題点 (2)

「その左手では将来弾けなくなりますよ」 私は大学生の時にザルツブルグでシャンドール・ヴェーグのレッスンを受けたことがあります。その時に次のように言われました。 「今は若いからその左手のフォームでも弾けるでしょう。そのまま練習をしてコンクール…

初期教育の問題点 (1)

今回の題を書く前に、以前の項目についての追記を書いておきます。今回の題にも関係がありますし、ご質問を頂いた方の答えにもなるかと思います。 「音程を学ぶ」という題で書いてきた文は、説明が足りなくて解りにくい部分が多々あると思います。 たぶん、…

ヴァイオリンの諸々 (1)

読むべき本 昔にある楽器屋さんに行った時、店に本が10冊ぐらい積み上げてありました。 見てみたら、なんとそれは私が学生時代にヤマハで出会った洋書、一度はしっかり読んでみたいと思っていた、"The Way They Play" という本の和訳本だったのです。 「私の…

ヴァイオリン 音程を学ぶ (13)

半音の幅の違い 「音程を学ぶ」という題で書き進めてきましたが、これらは私がレッスンで話している中から、音程に関することで、文章にしても誤解のないことをまとめてみました。 これによってレッスン中の雑談の時間を減らす、という自戒の意味もあります…

ヴァイオリン 音程を学ぶ (12)

ピアノに合わせた調弦 ヴァイオリン奏者はピアノの伴奏で演奏する機会が最も多いと思います。 調律士に聞いた話です。 コンサートグランドの場合、高音と低音の両端に向かって音程を幾分高く設定する。それによって鮮やかな感じが増す。 そのさじ加減はホー…

ヴァイオリン 音程を学ぶ (11)

音階のモヤ靄を晴らす-4- 三度の音階の音程には、常に漠然とした難しさが感じられます。 一般的に三度の音階は練習を積んで、なんとなく問題を緩和した妥協的な音程で弾く結果となっているのではないでしょうか。 それはそれで一つの音律ではありますが、こ…

ヴァイオリン 音程を学ぶ (10)

音階のモヤ靄を晴らす -3- アルペジオの音程は基本的に三度の積み重ねです。 ストレートな音階では旋律的音程を練習しますが、アルペジオは和声的音程の練習に使うべきです。 我々ヴァイオリン奏者は、単音で和声的音程を取ることになれていません。 昔を思…

ヴァイオリン 音程を学ぶ (9)

音階のモヤ靄を晴らす-2- 和声的音程から旋律的音程に変えてみましょう。 前に書いた方法でA線上で、A,H,Cis,Dの和声的音程を取ってください。 CisをD–durの導音として高めに移動させて下さい。 和声的音程からどのくらい移動させたか、その距離を認識してお…

ヴァイオリン 音程を学ぶ (8)

音階のモヤ靄を晴らす -1- 音階を練習している時には、少なからず音程に不安定な感じが伴うのではないでしょうか。 普通は繰り返し練習して音程を探るか、ピアノに合わせて音程を覚えたりしますね。 ヴァイオリンの習い始めを思い出してください。 最初に開…

ヴァイオリン 音程を学ぶ (7)

音程測定機は使い方が肝心 音程測定機は色々と発売されていますが、使い方を間違えないようにしなければいけません。 ほとんどの音程測定機は平均律で設定されていると思うのですが、その説明がないものがほとんどです。 一部の音程測定機に種々の音律と基音…

ヴァイオリン 音階を学ぶ (6)

音叉に合わせる ヴァイオリンを習い始めた時は、自分で調弦ができないので、誰かが調弦をしてあげているはずです。 その後、自分で調弦をすることになりますが、その時点で音程測定機を使わないようにするべきでしょう。 もし、音感がまだ身についていない子…

ヴァイオリン 音程を学ぶ (5)

ヴァイオリンの壺 「壺」を国語辞典で引くと「三味線や琴の勘所(かんどころ)」という意味が載っています。ヴァイオリンでは、壺が合っている、とか、壺がずれている、などの言い方で使います。 ヴァイオリンの五度を押さえる位置が4本の弦で横に一直線に揃…

ヴァイオリン 音程を学ぶ (4)

教則本にある嘘? 前回の(続き)の項を読んでくださった方の中には、ここまでやらなくも良いのではないでしょうか、と思った方もいるでしょう。 このブログを読んでくださったご父兄の方から次のようなメールを頂きました。 「ヴァイオリンを習い始めて1年を…

ヴァイオリン 音程を学ぶ (3)

音程には優先順位があります(続き) ヴァイオリンの開放弦を基音にして長音階を弾くと、調性はG–dur、D–dur、A–durが成立します。 この場合、主音と属音は開放弦です。どの調でも左指の間隔は同じですね。 要するに長音階は主音と属音の上に同じ間隔で、全音-…

ヴァイオリン 音程を学ぶ (2)

倍音を聴く 音程には優先順位があります ここでの音程の話は、ヴァイオリンの練習の話であることを前提としますます。 実際の演奏では調性の解釈、周りの楽器の音程など様々な影響を受けて音程は変化せざるをえません。ヴァイオリン単体でも開放弦の影響を受…

ヴァイオリン 音程を学ぶ (1)

習い始めの時こそ音程の知識が必要です ヴァイオリンとピアノの音程は違います ヴァイオリンを習い始めた時にどうやって音程感覚を身につけましたか? 多くの人がピアノか何か他の楽器の音を聞いて、それを真似て音程を覚えていったのではないでしょうか。私…

前書き

このブログを始めたわけ 私の元を訪ねて来る方がレッスンで大事なことに集中できるように、説明に時間を取られないようにするために、文章にし易い事柄を選んで書いていきます。 予備知識と、私が使用する言葉について共通の認識を持つ助けになれば嬉しいで…